偽装婚約~秘密の契約~
『沙羅(サラ)…元気でな』
「健康に…気を付けてね」
え?大丈夫?お父さん、お母さん。
なんでそんな永遠のお別れ、みたいなこと言ってるの?
あたしは…ここにいるよ?
『では、行きますよ、沙羅様』
は?!今…なんて?
沙羅『様』って?!
スーツのおっさんもおかしくなったの?!
『お荷物は宅配でお送りください。
では、失礼します』
スーツのおっさんはお母さんとお父さんに頭を下げ、私の腕を引く。
「ちょ、ちょっと?!」
スーツのおっさんの腕を振り払う。
『沙羅様、抵抗されてもムダです』
……………っておい!
スーツのおっさんは私を抱きかかえる。
そして、真っ黒の外車に無理矢理連れ込まれた。
「ちょ…お母さん?!お父さん?!」