偽装婚約~秘密の契約~
現実逃避
「………ん…っ…」
…あれ?
ここって…
『起きたか、沙羅』
上半身を起こすと部屋のドアが開いた。
「……ああ、要」
そうだ。
昨日、何も考えずに晴弥の家を飛び出して、要に拾われたんだっけ。
『眠れたか?』
「うん、なんとか」
そう答えたあと、ギュルル…とお腹が鳴って慌ててお腹を押さえる。
恥ずかしっ!!
『色気より食い気だな、沙羅は。
メシの用意はしてある。
着いてこい』
要はふっと笑って言った。
さすが要。
あたしのこと、なんでも分かってる。
これだから要には甘えちゃうんだよね…
ダメだって、分かってるのに。