偽装婚約~秘密の契約~
「あ、そうだ、要。
今日、学校は?」
平日の10時過ぎ。
さも当たり前の顔して朝食食べてるあたしたちだけど本当なら授業中だよね?
『…休んだ』
また…だ。
またあたしは要に迷惑かけた。
あたしが家出なんてしなければ
要は今日も普通に学校へ行ったはずなのに。
『沙羅さ、もうやめろよ。』
「え…?」
『だから、自分責めるの、もうやめろよ』
要はフォークとナイフを置き、正面から真っ直ぐにあたしを見つめる。
『昨日から、あたしのせいで、あたしのせいで、ってずっと思ってんだろ?
そういうの、やめれば?
生活してたらさ、誰かに迷惑かけるなんて当たり前だろ?
なのにまた迷惑かけて、って思うの、間違ってる。
俺と沙羅の仲なんだから、遠慮なく、なんでも言えって。
………分かった?』
素直に頷いた。
純粋に要の言葉はあたしに響いた。
だってそんなこと言ってくれると思ってなかったから。
ずっと張り詰めていた糸が切れたように
突然、涙が溢れた。
昨日あんなに泣いたのに
どこからこんなにも涙が出てくるんだろう。