偽装婚約~秘密の契約~
『俺、ちょっと用事あるから出かけてくるな。
部屋で好きにしてて。』
結局、遅めの朝食はあの微妙な空気を引きずったまま終わった。
「ん、分かった。
いってらっしゃい」
あたしは自分に与えられた部屋に戻った。
さて、何をしようか。
とりあえずそばにあったリモコンのスイッチをON
テレビから下品な笑い声が聞こえてくる。
ただ、今の心境でテレビになんて集中できるはずもなく。
付けて10分も経たないうちにスイッチOFF
「はぁ…
暇…だなぁ…」
なんて呟いてみる。
そしてベットに寝転がる。
考えることは山ほどある。
でもありすぎて何から考えていいのか分からないんだ。
それに何を考えてもこの状態じゃ答えは見つからない気がして。
だからあえて何も考えないことにした。
すると突然。
『お暇なら…お相手いたしましょうか?沙羅様』
聞こえてくるはずのない声が部屋の入り口から聞こえて来た。