偽装婚約~秘密の契約~
「どう…して…」
声になっていたかは分からない。
もしかしたら、口パク状態だったかもしれない。
でも、それくらいビックリしたんだ。
『そんな宇宙人を見るような目で見ないで下さい、沙羅様。
昨日も会ったじゃないですか』
そう言って突然現れた瑞季さんは笑った。
「いや…でも…だって…」
なんで?
なんでここにあたしがいる、って知ってたの?
それにどうやってここに入って来たの?
もう頭の中はハテナマークでいっぱいだ。
『沙羅様はまだ私を分かっていらっしゃらないようですね。
私の手にかかれば沙羅様の居所を突き止めるのも、月島グループの敷地に入ることも朝飯前です』
瑞季さんは笑いながらそんなこと言う。
なんて人なんだ、まったく。
一瞬、瑞季さんと晴弥がダブって見えた。