偽装婚約~秘密の契約~




部屋を出ると廊下の奥の方から声が聞こえて来る。

廊下を進んでいくとだんだん声が大きくなってはっきりと聞こえてくる。




『……いい加減帰れよ』

この声は要の声だ。


少し怒ってるような声。



『イヤだね』


どう…して?

ドアの前であたしは座り込む。


ねぇ…どうしてなの?

なんであんたの声が…聞こえるの?



『なんだか今の遊馬は学校のときとは別人だな。


学校にいるときは漫画にでも出て来そうな優等生。

なのに今は優等生とはかけ離れた我が儘野郎だ。


ま、でも今の方が人間らしいけどな。

学校でのお前はまるで…ロボットだ』


要がそう言ってははっと乾いた笑い声で笑う。



『月島は学校でも家でも変わらずお喋りなんだな。


で、沙羅は?

いつになったら出してくれる?』


晴弥…ねぇ、どうして?

あたしにはもう…用はないはずでしょ。


なのに、どうして?

どうしてわざわざあたしを迎えにくるようなこと…するの?









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