偽装婚約~秘密の契約~




『さっきから言ってるだろ?

沙羅はお前には渡さない。


それにアイツは…明日にはここを出て行くんだ。

どういうことか分かるよな?


アイツはもう自由になりたいんだよ。

だから俺はその願いを叶えてやるんだ。


そのためにお前と沙羅を今、会わせることはできないし

渡しもしない。』


要の真剣な声。

やっぱり、要はどこまでも優しいんだね。



『お前さ、なんなの?

それが沙羅のためになる、そう思って言ってんの?


本当にそれは沙羅のためか?

沙羅が心の底から自由になりたい、そう思ってると思ってんのか?』



『どういう意味だよ?』


そうだよ、晴弥。

それ…どういうこと?


あたしは…


あたしは…



自由に、なりたいんだよ。


要の言ってることが正しいんだ。


明日、ここを出てあたしは自由になる。

それを望んでるんだよ。








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