偽装婚約~秘密の契約~
『分かんないなら、本人に聞いてみるか?』
晴弥の挑戦的な声。
『だからお前と沙羅はあ…『おい、瑞季』
要の言葉を遮って晴弥は言った。
『そこのドア、開けろ』
『はい』
ヤバイ、と思ったあたしは立ち上がって走り出そうとした。
でも
『……沙羅…?』
その前に目の前のドアが開いて。
すぐ傍に瑞季さんが立っていた。
「あは?」
とりあえず笑って誤魔化す。
でもそんなこで誤魔化せるような相手じゃなくて。
『入ってこい、沙羅』
晴弥が有無を言わせない顔であたしを見て。
「はぁ…」
と、溜め息をついたあたしは仕方なく、その部屋に足を踏み入れた。