偽装婚約~秘密の契約~




やっぱり、晴弥は晴弥だった。


常人には理解できない言動。

これぞまさしく遊馬晴弥。


何よ?



あたしが何を考えて

何を思ってるのか。


それが全て分かる、って。


あんたは…バカ?

それとも…アホ?


どちらにしろ、そういう自信過剰なところがあたしはキライ。



『と、いうことで沙羅は俺が預かるから。

迷惑かけて悪かったな、月島。


それと…見つけてくれて助かった。

それじゃ』


晴弥はそう言ってあたしの腕を掴んで立ち上がる。

そしてそのままドアを開けた。


そのとき、要が叫ぶ。


『また逃げたくなったらいつでも頼れ。

俺はお前のダチだからな、これからもずっと』



「……ありがとう!要」


一生会えなくなるワケじゃないのに、

なぜか要はそんなことを言って。


でも、要はそういうヤツなんだ。


晴弥ほど言動がおかしいワケじゃないけど、

物事を大きく捉えすぎることがあるから、要は。


頭の隅でそんなことを考えながら心の中で呟く。



あのね、要。

もう逃げないことにしたよ、あたし。


砕けてもいいから正面からぶつかることにした。

だから、応援してて。


それでもし、砕けちゃったときはとびきり優しくしてね。


助けてくれて

かくまってくれて

ありがとう、要。


あたしは今から闘ってくるよ

大魔王、晴弥とね。












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