偽装婚約~秘密の契約~
『お前さ、自分の立場…ちゃんと分かってる?
俺、言ったよな?前に。
沙羅は俺のペットなんだから、って。
ペットが勝手にご主人様から離れていいと思ってんの?
俺、ダメだと思うんだよね。
ペットが主人の命令ナシに動くのって。
だからさ、沙羅。
もう2度と勝手に出て行くな。
せめて俺に一言声かけろよ。
ま、声かけたところで出て行くことにOKなんてしないけどな』
言いたいことだけ言って出ていこうとした晴弥に
「ちょっと待ちなさいよ!」
夜中だということも忘れて大声で叫んだ。
「あんたね、人のことペット、ペット言ってふざけてんの?!
あたし、晴弥のペットじゃないから!
あたしはあんたの偽装婚約者!
分かった?」
ベットから立ち上がって晴弥に近づく。
『残念だ、沙羅。
俺にはお前が何言ってるか分からない』
掴みかかってやろうかと思ったが暗くて晴弥の正確な位置がつかめない。
だから
「はあぁぁぁあ?!
ふざけないでよ!
分かるまで何度でも言ってあげる。
あたしはあんたのペ―――…………
そこまで言ってあたしの言葉は遮られた。
なぜなら、晴弥に口を塞がれたからだ。
……………魔のキスで。