偽装婚約~秘密の契約~
かなり素早く着替えをすませる。
久々のブレザーはやっぱりどこかぎこちなくて。
いつかこのブレザーが似合う日は来るのだろうか。
なんて姿見の自分と見つめ合いながら考える。
『……おい、沙羅。
なーに自分に見とれてんだ?』
突然、背後から声がして。
鏡を見るとドアのところで腕を組んだ晴弥が立っていた。
「勝手に入ってこないでよ!」
『今さら何言ってんだ?』
いや、まあ確かに「今さら」だけどっ!
でもそんな冷静に返さなくてもいいじゃない。
こっちが熱くなってるのに。
『ほら、学校行くぞ。
芽依とジュウゴが待ってるんだから』
晴弥は涼しい顔して部屋を出て行く。
そうだ。
忘れてた。
芽依とジュウゴ。
2人にはまだ連絡とってないんだ。
そこからまたスイッチオン。
急いで学校の用意を済ますと玄関を飛び出した。