偽装婚約~秘密の契約~
その日、遊馬家へ着くと同時にあたしは言った。
「晴弥、なんかあたしに言うことない?」
これを言いたくて今日1日ウズウズしていたんだ。
『沙羅に言いたいこと?』
晴弥は俯いて考えている様子。
ってか考えるようなことでもないでしょ!
すぐ言いなさいよ!アメリカへ行くこと!
と、思いながらもぐっと堪えて黙っておく。
『……あ、あるある。』
顔を上げた晴弥は言った。
『この間、お前が勝手にうちを出たせいで
母さんに婚約がウソだってバレそうになった。
なんとか瑞季がフォローしてくれて助かったけど…
どう責任取ってくるんだよ?
もしバレたら俺は即刻、会ったこともないヤツと結婚させられるところだったんだぞ?』
…………おーっと…?
これは…マズイ展開のヤツ…かな…?