偽装婚約~秘密の契約~
とりあえずあたしの脳の危険信号が…それも真っ赤なランプが光り出したのでその場を逃げようと試みる。
でも…
『……おい、待てよ。
逃げられると思ってんの?』
当然のごとく、晴弥に腕を掴まれる。
なんて機敏な動きなんだろう。
「いやいやいや…逃げようなんてめっそうもない。
晴弥、とりあえず落ち着こ?」
そう言いながら座るように促す。
でも晴弥が素直に頷いて座るはずもなく
『沙羅が座れば?』
なんて言われる始末。
……大失態。
こんなはずじゃなかったのに。
アメリカへ連れて行ってもらおう、
って魂胆で話を始めたのに。
やっぱり人間、欲にまみれると
罰が当たるのね。