偽装婚約~秘密の契約~
【コンコン】
ノックが聞こえて
「……はぃ」
と小さい声で返事をする。
『失礼します』
……やっぱり。
瑞季さんだったか。
仕方なく体を起こし、
ベットに腰掛けた。
『どうぞ。
ホットココアです』
ねぇ?瑞季さん?
1つ、聞いてもいいですか?
「なんでこの時期にホットココア…?」
外は容赦なく、太陽の光が降り注いで
少し歩いただけでじっとりした汗をかくというのに。
『すみません。
完全に、私の気分です』
ふっと瑞季さんが笑った。
思わずあたしも笑う。
瑞季さんもたまには気分で動くときもあるんだなぁ…
なんて思いながらホットココアを飲むと案の定、
「………あっつっ…」
舌を火傷した。