偽装婚約~秘密の契約~
「……なんか、あった?」
思わず、そう聞いていた。
でも、そう聞きたくなるくらいに晴弥の声が淋しそうだったから。
だから、仕方ないんだよ。
『なんでもないんだ。
ただ、ちょっと沙羅の声が聞きたくて』
そんな言葉に不覚にも胸がドキッと鳴った。
「寝ぼけてる?
それとも疲れてる?」
少し、笑いながらそう聞くと
『両方…かもな。』
ハハッと笑いながら晴弥が言う。
そして晴弥は少し真面目な声で言った。
『沙羅…今、俺に…会いたい?』