偽装婚約~秘密の契約~





要も、ジュウゴも、芽依も。

あたしには見えていなかった。


ただ、さっきの晴弥の声が忘れられなくて。


行かなきゃ。

そう、思った。



『ですが晴弥様は…『瑞季さん』


瑞季さんの言葉を遮ったのはジュウゴだ。



『俺からも頼むよ。

沙羅を今すぐ晴弥のところへ連れて行ってやって。


飛行機の手配ができないなら、

うちのジェット機使ってもらえばいいから。


……あ、でも遊馬家には遊馬家の専用ジェットがあるか』


『俺からもお願いだよ、瑞季さん』

と、要。


「あたしからもお願い、瑞季さん」

そして、最後に芽依。


あたしはなんていい友だちを持ったのだろう。



『怒られても…知りませんよ』


瑞季さんはそう言い残して部屋を出て行った。


それはきっと…OKってことだと思う。


「みんな、ありがとう!」

あたしはそう言って自分の部屋へ行くと大急ぎで荷物を詰め込んだ。


そのとき、あたしの頭の中にはこれしか浮かんでいなかった。



「これで最後。

晴弥に会ったら、契約を終わらせてもらおう」














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