偽装婚約~秘密の契約~
契約終了
『……沙羅様!』
リビングで瑞季さんを待っていると少し息を切らした瑞季さんが入って来た。
『ジェット機の用意ができました。
今から空港へ行きます。
よろしいですか?』
立ち上がって頷いてみせる。
ってかホントにジェット機持ってるんだ。
しかもさっき、ジュウゴも密かに持ってる的なこと言ってたし。
本物のお金持ちはこれだから分からない。
そんなことを考えながら車に乗り込む。
『沙羅様。
本当によろしいですか?
出発…しても。』
何かを感じているのだろうか、瑞季さんは。
ルームミラー越しに目が合う。
あたしは真っ直ぐに瑞季さんを見ると
「お願いします」
そう言った。
もう、やめよう。
逃げるのは。
晴弥に会って。
その帰り道でいい。
この紙を…破ってもらおう。
あたしは鞄の中の
『契約書』
そう書かれた紙を見た。
突然始まったこの関係は
突然終わるのがきっと、ちょうどいいんだ。