偽装婚約~秘密の契約~





「あの…瑞季さん?」


『はい。なんでしょう』


ホテルに着いて支配人らしき人に連れられて到着したのはこの部屋。



「ここって…一般的にスイートルームって言われる部屋ですよね?」


『はい。そうです』


「あたしが…こんな部屋、使ってもいいんですか?」


ホテルの部屋でこんなに広いところがあるなんて知らなかった。

そもそもスイートに入ることなんてありえないと思っていたのに。



『もちろんです。

なんせ、このホテルは遊馬電器の私有物なので

遊馬家へ嫁入りすることになっている沙羅様がスイートルームを使うことはなんの問題もございません』


し、知らなかった…

遊馬電器がホテル業界へ進出していたなんて。



『ちなみに補足説明をいたしますと

このホテルの所有者は現在、旦那様ですが、

二十歳の誕生日に晴弥様のものとなります』



「……………………っ」


驚きで言葉も出ない。

なんてこった。


こんな大きいホテルを

晴弥が将来経営するワケ?


しかも二十歳で?


ああ…あたしはなんてすごいヤツと知り合ってしまったんだろう。








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