偽装婚約~秘密の契約~
とりあえず立っていることが辛くなったのでソファに体を沈める。
ナイスクッション。
こんなに柔らかいクッションが世界にはあったのね。
と、小さな感動。
『あの…座ってもよろしいでしょうか』
「あ、はい。どうぞ」
瑞季さんがこんなことを言うなんて驚きだ。
長い飛行機に車の運転でさすがに疲れたのかな?
そう思っていると正面に座った瑞季さんが言った。
『沙羅様、真剣なお話をしましょう。』
真剣なお話?
一応構えながら
「分かりました」
と、答えた。
『もし、間違っていたら間違ってる、とはっきり言ってください。
私が今から言うことは沙羅様が今後、行おうとしていることについてです。
正直、こんな予想、外れていてほしいんですが。』
瑞季さんは俯いていた顔をあげ、
真っ直ぐにあたしを見つめる。
そして、言った。
『沙羅様は今日、晴弥様に契約解除を申し立てようとしている。
どうですか…?私の予想は外れていますか?』
瑞季さんの真剣な眼差し。
あたしはその目から逸らさず、はっきり答えた。
「残念ですが…正解です、瑞季さん」