偽装婚約~秘密の契約~





とりあえず立っていることが辛くなったのでソファに体を沈める。

ナイスクッション。


こんなに柔らかいクッションが世界にはあったのね。

と、小さな感動。



『あの…座ってもよろしいでしょうか』


「あ、はい。どうぞ」


瑞季さんがこんなことを言うなんて驚きだ。


長い飛行機に車の運転でさすがに疲れたのかな?

そう思っていると正面に座った瑞季さんが言った。



『沙羅様、真剣なお話をしましょう。』


真剣なお話?

一応構えながら


「分かりました」

と、答えた。




『もし、間違っていたら間違ってる、とはっきり言ってください。

私が今から言うことは沙羅様が今後、行おうとしていることについてです。


正直、こんな予想、外れていてほしいんですが。』


瑞季さんは俯いていた顔をあげ、

真っ直ぐにあたしを見つめる。


そして、言った。



『沙羅様は今日、晴弥様に契約解除を申し立てようとしている。


どうですか…?私の予想は外れていますか?』


瑞季さんの真剣な眼差し。

あたしはその目から逸らさず、はっきり答えた。



「残念ですが…正解です、瑞季さん」











< 265 / 295 >

この作品をシェア

pagetop