偽装婚約~秘密の契約~
『やはり…そう…でしたか』
瑞季さんはそう言って俯いてしまう。
ごめんなさい、瑞季さん。
あなたの期待を裏切るようなことをして。
「瑞季さん、1つ言っておきます。
とめても…無駄ですよ。
あたしの意志は固いんです。」
一瞬、視線をあげた瑞季さん。
でもすぐにまた、俯いてしまって。
あたしはどれだけ瑞季さんを落胆させれば気が済むんだろう。
『私が…どれだけ必死に止めてもダメ…ですか?』
「………はい」
『晴弥様が…止めても?』
「………はい。
と、言うか晴弥は絶対に止めたりなんてしない」
だってもう、あたしが晴弥の婚約者でいる意味はないんだから。
契約期間は半年だったけど。
でも実際、あたしが必要なのは婚約披露宴まで。
だけど、それももう終わった今。
あたしが遊馬家にいる意味は…もう、ない。