偽装婚約~秘密の契約~





あたしを抱きかかえているのは晴弥じゃない。

瑞季さんだ。



170センチも身長があるあたしを軽々と持ち上げるとベットまで運んでくれる。



「…すみません」


目を閉じる。

なんだろ…分かんないけどとりあえず疲れた。



今日1日でいろんなことがありすぎたんだ。



『お疲れでしょうから今日はもう、お休みになってください。

それでは失礼します』


静かに立ち去る瑞季さん。


晴弥に…あんな気遣いでもできたら良かったのに。


そんなこと望んだって無意味だ、って分かってる。


どれもこれも全部、お母さんやお父さんのせいだ。


借金のこと、何も言わずにいて。

で、お金返せないからってこんなところにあたしを渡して。



なぜか分からないけど、涙が溢れて止まらなかった。







こうして、あたしの歯車は少しずつ狂いだしたのだった









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