偽装婚約~秘密の契約~
『何、言ってんだよ…?』
「あたし、契約規約破った」
『……そんなこと…っ』
そんなこと、どうでもいい。
と、でも晴弥は言いたかったんだろう。
でもあたしは晴弥の言葉を遮って言った。
「まず最初の契約規約。
”この関係を他人に話してはいけない”」
契約書の太字の部分を指さす。
「昨日…要に喋った、契約のこと」
『………それは破ったうちにはいらない』
何言ってんの?
晴弥。
どうしてねばってくれるの?
もうあたしは用なしでしょう。
「それに2つ目の規約。
”相手に惚れてはいけない”」
さっき指していた場所から少し下にずらす。
「晴弥、さっきの話、聞いてたならあたしのキモチ…知ってるんでしょ?
これって1番破っちゃいけない…規約なんじゃないの?」
晴弥から目を逸らすことなく、
あたしは最後まで言い遂げた。