偽装婚約~秘密の契約~
ねぇ…晴弥。
さっきからいったいなんなの?
『イヤだ』
とか
『許さない』
とか。
そんなの、ただの駄々っ子じゃない。
いや…これは前から知ってたことか。
自分が言えばなんでも言うとおりになる、って思ってる。
そういうところ、あんまり好きじゃない。
だけど、そういうところばっかりじゃないから。
だからあんたをキライになれないの。
「あたしは自由になりたいの」
『…自由になんてさせない』
「普通の生活に戻りたいの。」
『……戻らせない』
はぁ…
こんな調子じゃ、埒(ラチ)が明かない。
「ねぇ…晴弥。
もうあたしに用はないでしょ?
なのに…どうしてあたしを引き留めるの?」
ついに核心をつく。
知らなくてもいいことかもしれない。
けど、ここまで来たら思い切って聞いてあげる。
だけど、返ってきた言葉は完全に、あたしの予想を超えていた。
『………理由は…言えない。』