偽装婚約~秘密の契約~




ねぇ…晴弥。

さっきからいったいなんなの?


『イヤだ』

とか

『許さない』

とか。


そんなの、ただの駄々っ子じゃない。


いや…これは前から知ってたことか。


自分が言えばなんでも言うとおりになる、って思ってる。

そういうところ、あんまり好きじゃない。


だけど、そういうところばっかりじゃないから。

だからあんたをキライになれないの。



「あたしは自由になりたいの」


『…自由になんてさせない』


「普通の生活に戻りたいの。」


『……戻らせない』


はぁ…

こんな調子じゃ、埒(ラチ)が明かない。



「ねぇ…晴弥。

もうあたしに用はないでしょ?


なのに…どうしてあたしを引き留めるの?」


ついに核心をつく。

知らなくてもいいことかもしれない。

けど、ここまで来たら思い切って聞いてあげる。


だけど、返ってきた言葉は完全に、あたしの予想を超えていた。




『………理由は…言えない。』











< 273 / 295 >

この作品をシェア

pagetop