偽装婚約~秘密の契約~





結局…そうなるのね。


なら、いい。

やっぱり理由なんて知らなくていい。


だから、お願い。



「ここにサインして」


あたしは飛行機の中で書いた1枚の紙切れを晴弥に差し出した。


そこには契約解除に当たってのことが書いてある。


これからいっさい、遊馬家と関係しない。

ってことや

うちの借金のことは後日相談する。

ってことなんかも書いてある。


そして最後にあたしの署名。

その下は晴弥が署名できるようにスペースが開けてある。



晴弥はその紙をじっくり見たあと、

あたしをじっと見つめる。


そしてペンを手に取った。


ああ…やっぱり、最後はそうなるのね、晴弥。

このまま、ずっと引き留めてくれることを少しでも期待したあたしがバカだったよ。



晴弥はキレイな字で遊馬晴弥、と名前を書いた。



……終わった。

長かったようで短かった契約が今、終わった。


急に熱いモノが込み上げてきて。

それをぐっと堪える。


ダメよ、沙羅。

まだ、泣いちゃダメ。


あたしは必死で笑顔を貼り付けた。

そして、言う。



「今まで…ありがとう、晴弥」













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