偽装婚約~秘密の契約~
「うわぁ…すっごい人…」
車を降りて空港内に足を踏み入れる。
なんで?
なんでこんなに人でいっぱいなの?
『絶対に、私から離れないでください』
「はーい」
そんなあたしの返事に瑞季さんは少し、心配そうな顔をする。
瑞季さん、ちょっと心配し過ぎ。
あたしだって子どもじゃないんだからこの土地が日本みたいに治安のいいところじゃないことくらい、なんとなく…分かってる。
『何食べますか?』
「やっぱり…ホットドッグ、とか?」
ここは王道で、アメリカのホットドッグを食べてみよう!
やっぱり、ソーセージは日本より大きいのかなぁ…
パンも日本より大きいかなぁ…
なんてホットドッグを頭の中で思い浮かべる。
『沙羅様、ヨダレ、垂れてます』
「え?!」
慌てて口元を拭う。
でも
「ヨダレなんて出てないじゃないですかぁ!」
瑞季さんはおかしそうに笑っていて。
また、やられたよ。
この人はホントに、あたしで遊ぶのが好きなんだろうな。