偽装婚約~秘密の契約~
『あのお店にしましょう』
瑞季さんが指さしたお店は少し行列ができている。
「そうですね」
2人してワクワクしながら列に並んだ。
日本からここへ来るときに食べた機内食以来の食事。
さすがに腹ぺこ。
今にもお腹が鳴りそうだ。
早く…順番…こな…『………らー!』
え?
今…あたしの名前…聞こえなかった?
そう思って瑞季さんの顔を見るが
『どうかなさりましたか?』
と、いつも通りの顔で言われたので
「あ…いや、なんでもないんです」
きっと、今のは空耳だ。
そしてあたしは中断させた思考を再開させた。
早く…順番来ないかなぁ。
あーもう、ホント、ヨダレが出て来ちゃいそうだ。
あと…少し。
あと3人であたしの番が来る………はずだった。
『………さらっ!!!』
アイツの声さえしなければ、
あたしは…ホットドッグにありつけたのに。