偽装婚約~秘密の契約~
「……………晴弥っ?!」
突然、晴弥はあたしの腕を引っ張ると無理矢理、自分の腕の中に閉じ込めた。
あたしは必死に抵抗。
ねぇ…どうして?
晴弥、さっき署名したでしょ?
契約解除の…署名、したじゃない。
なのにどうして…こんなことするの?
『沙羅…考えてみろよ。
お前が俺の手から逃げられるワケ…ないだろ?』
「はぁ?!何言ってんの?!
寝言は寝て言って!!」
晴弥の腕の中でまだ暴れ続けるあたし。
でも晴弥は力を弱めてはくれず、逆に、力が強くなっていく。
『沙羅…ホントに俺と契約解除なんてすんのか?』
「……そうよ!
もう晴弥と一緒にいるのはイヤなの!」
苦しくなるから。
泣きたくなるから。
だから晴弥と一緒にいるのはイヤなの。
『ホントは…俺から離れたくないくせに。』
そうね、晴弥。
あたし、あんたから離れたくない。
だって…こんなにも
晴弥が好きなんだから。