偽装婚約~秘密の契約~
姿見の前に立つ。
やっばぁ…
この制服、あたし好きだ。
チェックのスカートに白のブラウス。
そしてネクタイにブレザー
念願のブレザーだ。
前の高校はセーラーだった。
「瑞季さーん」
ネクタイを持ってドアを開ける。
『どうかなさりましたか』
晴弥の隣にいた瑞季さんが音もたてずにこちらにやって来た。
すご技だ。
「ネクタイ…結べないんですけど」
生まれて初めてのネクタイ。
どうやって結ぶかなんて分かるワケがない。
『ネクタイも結べねぇーのかよ』
なんていう呟きは聞こえなかったことにして、瑞季さんにネクタイを渡す。
そして手際よく、あたしのネクタイを結ぶ瑞季さん。
ってか…晴弥もそうだったけど間近で見れば見るほど瑞季さん、整った顔してる。
きっとモテるんだろうな…
なんて考えているうちにネクタイは結び終えられていた。