偽装婚約~秘密の契約~
番外編~理由~
「ねぇ、瑞季さん」
それはあたしと晴弥の想いが通じたあとのこと…
晴弥は研修に戻ってしまい、あたしは瑞季さんの運転であのホテルに戻っていた。
『なんでしょうか』
「そろそろ…教えてくれませんか?
あたしがなんで晴弥の偽装婚約の相手に選ばれたのか。」
ずっと、疑問だった。
なんでよりによってあたしなんだろう、って。
なんの取り柄もないあたしになんで白羽の矢が立ったんだろう、って。
『……知りたいですか?』
「知りたいです」
『……どうしても?』
「どうしても」
瑞季さんははぁ…と溜め息をつく。
……なんで溜め息?
『いいですか?
今から話すことは晴弥様から堅く口止めされていることですので、決して、口外などしないようにお願いします』
ルームミラー越しに瑞季さんと目が合う。
あたしは頷いて見せた。
『ある日、晴弥様が……………