偽装婚約~秘密の契約~
『それではいってらっしゃいませ』
仕度を終えて、玄関で瑞季さんに見送られる。
「ね、晴弥」
玄関を出て真っ直ぐに歩く晴弥に声をかける。
『んだよ?』
「森本は?」
今さらだが森本とは悪魔の間…契約書にサインさせられた場所で別れてから会ってない。
『あそこにいんだろ』
晴弥が顎で指したほうを見ると昨日無理矢理乗せられた車の横に森本が立っていた。
『うちの中での世話全般は瑞季がやってくれる。
でもうちの外での世話は森本がやってくれる。
まあ外での世話って言っても、運転手と護衛だけだけどな』
「へ~」
って!
感心してる場合じゃない!
何?
ってことは、だよ?
要するに晴弥には専属の執事的な人が2人もいる、ってこと?!
やっぱり…世界の遊馬家は並大抵な家じゃない。
本物のお金持ちだ。