偽装婚約~秘密の契約~
『何ぼーっとしてんだよ』
突然、横から声がして。
「…晴弥ぁ?!」
思わず大きい声が出た。
『お前ってイチイチうるさいな。
ちょっとは静かにしろよ。』
横目で睨まれる。
悪かったわね、うるさくて。
と、心の中で呟き睨み返すあたし。
ああ…可愛げがまったくない。
「ってか、なんでここにいるワケ?
あんたもホームルームあるでしょ?」
そう聞くとあぁ…とめんどくさそうな声が返ってくる。
『そういうの、ホントめんどい。
だからサボった』
なんてヤツだ。
ホームルームなんて10分くらいで終わるのに。
それがめんどくさい…って。
『ちなみに俺、お前と違うクラスだから。
帰りに迎えに行く。
んじゃーな』
晴弥はそう言ってポケットに手を突っ込み、歩いて行った。
やっぱり…晴弥は意味の分からないヤツだ。