偽装婚約~秘密の契約~
初日
「ほおづきさーん、どうぞ~」
中から森乃先生の声が聞こえてあたしはドアを開ける。
教室の中に入るといっせいに注目を集める。
ザワザワする教室。
ところどころから聞こえる声。
「今日…晴弥様と一緒にいた人じゃない?!」
なんて言葉があちこちから聞こえて。
はぁ…
なんで晴弥はそんな有名なのよ?
うんざりしながら森乃先生の横に立った。
『………あーーーっ!!!!!』
突然、後ろの方に座っていた男子が立ち上がり、あたしを指さして叫んでいる。
はっ?!
はっ?!
何!?
何が起こったのよ!?
軽いパニック。
森乃先生も声の大きさに驚いている。
「ど、どうしたの?サクラくん…」
ん?
今…サクラ、って言った…??
あたしは記憶の引き出しを片っ端から開けていく。
そして、思い出した。
「ジュウゴ…?!」
『沙羅…?!』