偽装婚約~秘密の契約~
「ね、ね、鬼灯さん。」
ホームルームが終わったと同時にあたしの周りに群がる女の子たち。
好奇の目がハンパない。
「いったい、晴弥様とはどういう関係なの?」
晴弥様、だって。
やっぱ笑える。
なんでアイツに『様』なんてつけてんだろ。
なんて思いながら
「まあ…ちょっとした…知り合い、かな?」
と、答える。
とてもじゃないけど言えるワケがない。
「晴弥の偽装婚約者です」
なんて。
まず契約違反だしね。
違反したら晴弥は借金の肩代わりはしない、と言っていた。
もちろん、契約書に書いてあったしね。
ま、サインさせられたあとに気づいたんだけど。
「そうなんだ~
じゃあ…佐倉くんとはどういう関係?」
ジュウゴ?
そこも聞くワケ?
そう思いながら答えた。
「ただの顔見知り」