偽装婚約~秘密の契約~
「ジュウゴ、晴弥の教室ってどこ?」
1限目が終わってジュウゴに聞く。
『隣のクラス。
つーか、この学校1学年2クラスしかねぇーから』
涼しい顔でジュウゴは言う。
そんなん知らないってーの!
と、心の中で呟きながら隣の教室を覗く。
「…うわぁ…何コレ…」
教室の中を見渡すと人だかりを発見。
多分、中心にいるのは晴弥だ。
あんな状態じゃ話しかけられないじゃん!
なんて思っていると…
『あ!鬼灯さん!』
晴弥があたしに向かって手を挙げた。
え…?
今、なんて呼んだ…?
鬼灯さん、そう言ったよね?
沙羅、じゃ…ないワケ?
戸惑うあたしをよそに晴弥はあたしの隣に立つ。
女の子たちの視線が痛い。痛すぎる。
『鬼灯さん、僕の知り合いなんだ。
みんな、仲良くしてあげてね?』
晴弥はそう言ってニコッとあたしに見せたことのない顔で笑って見せた。