偽装婚約~秘密の契約~
『なんだよ?沙羅。
俺に逢いたくてわざわざ逢いに来たのか?』
人気がない廊下の隅で晴弥はそう言ってニヤッと笑う。
コイツ、マジでタチ悪すぎ。
さっきはあんな裏も表もありません、みたいな顔で笑ってたのに、今じゃ悪戯っ子のように笑ってて。
コイツの猫かぶりは完璧すぎる。
さっきの晴弥を見て思った。
「んなワケないでしょうが!
あんたに文句言いに来たの!」
『文句?』
露骨に機嫌の悪そうな顔をする晴弥。
なんなの?
まだ文句言いにきた、しか言ってないじゃん。
なんで話し聞く前から不機嫌なワケ?
「なんで契約のこと、ジュウゴに言ったの?!」