偽装婚約~秘密の契約~
『おーい!晴弥ぁー!』
突然、ドアが開いて間抜けな声が聞こえてきた。
『沙羅!?』
「ジュウゴ!?」
同時に叫ぶあたしたち。
そう言えばこれ、今日の朝もやったっけ。
教室で紹介されたとき。
『あ!瑞季さん!
こんにちわっす』
『いらっしゃいませ、ジュウゴ様』
「瑞季さん。
こんなバカに頭下げなくてもいいですよ」
また丁寧に頭を下げた瑞季さんに言う。
でも瑞季さんは微笑んだまま。
『バカはお前のほうだろ。バカ』
「バカにバカって言われたくない!」
こういうやりとり、小学生のときにやった。
変わってないなぁ…あたしも、ジュウゴも。
『おい、お前らうっさいんだけど。
もうちょっと静かにできないのかよ?』
そこへ不機嫌丸出しの晴弥が自分の部屋から出て来た。