偽装婚約~秘密の契約~
Lesson 2
『洋介ってもしかして…沙羅の彼氏か?!』
横からジュウゴの声。
でも、誰も答えない。
瑞季さんはただ黙って、あたしの横に立っている。
そしてあたしと晴弥は黙って、睨み合い。
『答えろよ、沙羅。
別れたのか?』
分かってるくせに。
知ってるくせに。
まだ…
別れてないこと。
「…別れてない」
晴弥の頬が一瞬、ピクッと動いた。
『俺、言ったよな?
洋介とは別れろよ、って』
「あんたが気安く洋介とか呼び捨てにしないで!」
頭にきて。
腹が立って。
思わず、声を荒げた。