偽装婚約~秘密の契約~
『んー…そうだなぁ…
俺が分かるとすれば、大好きなヤツと別れたくないってキモチかな』
ジュウゴはあたしの隣に座った。
なんなの…コイツ。
なんであたしの味方、みたいな言い方すんのよ。
『俺も…経験したことあるから。
大好きなヤツとの別れ。
ま、でも俺の片思いだったからお前とはちょっと違うかもな』
ジュウゴはそう言って笑った。
ってか…なんでそんな話、あたしにしてるのよ。
あたしたちはただのケンカ相手でしょ?
『沙羅。
晴弥は…お前が思ってるよりずっと、優しいヤツだぞ』
ジュウゴはそう言って部屋を出て行った。
結局…ジュウゴは晴弥の味方なんだ。
あたしの味方みたいな顔してさ。
今のだってきっと…作り話なんだ。
晴弥に頼まれたに決まってる。
サイテー
晴弥なんてサイテーな男だ。
あたしの意志なんて聞いてもくれない。
友達使ってまで別れようとさせる。
人間として、サイテーだ。