偽装婚約~秘密の契約~
『沙羅、間抜けな顔、してんなよ』
ジュウゴがあたしの顔を見ながらケラケラ笑っている。
何が間抜けな顔よ!
そんな顔、させたのはいったい誰!?
なんて言葉を呑み込んで、あたしは言う。
「瑞季さん!
どういうことですか?!
なんで勝手にあたしは晴弥の言葉に従うって誓わされなきゃいけないんですか!?」
『へ~
お前、そんなこと誓ったんだ?』
横からそんな声が聞こえて。
声が聞こえたほうに目を向けると壁に手をつき、あたしを見ている晴弥と目が合った。
『じゃ、誓い通り、俺の言葉に従ってもらおうか?』
「ちょ…何言って…」
あたしの言葉に被せるように、晴弥は言った。
『今日中に、洋介と別れろ。
別れないと契約違反としてお前の親が背負う借金は返済しない。』