偽装婚約~秘密の契約~
アイツの優しさ
なんで…
なんで…
なんであんたはそうやってあたしを追い詰めるの?
どうして。
どうしてそうやって何でもない、みたいな顔して、平気であたしを傷つけるの?
部屋に逃げ込み、枕に顔を埋めた。
どうしようもない、怒りがあるはずなのに、あたしの目からは涙が流れていた。
「………さーら?」
ふわっと優しい匂いが香る。
この香りは…芽依だ。
「あたしでよかったら、話聞くよ?
まあでも、なんとなく話は読めてるんだけどさ。」
顔を上げると芽依と目が合う。
そうすると芽依はニコッと笑った。
「…あのね………」
そしてあたしは話を始めた。