偽装婚約~秘密の契約~





『瑞季。

お前は空気も読めないのか』


ちぇっ、なんて舌打ちのあと、晴弥は仕方なさそうにあたしから離れる。



『申し訳ございません。

ですが、もう8時…ですので。』



「は…8時ぃぃ?!」


あたしは晴弥と瑞季さんを部屋から追い出して、ハイスピードで準備をする。


にしても、昨日のあたしはおかしかった。


晴弥とキスなんてするつもり、なかったのに。

我に返ったときにはもう、自分のベットの上で。


なんだろう。

アイツのキスに、脳がやられちゃった…気がする。


洋介の裏切りを知って。

晴弥の優しさを知って。


動揺してたのかな?

昨日のあたしは。


ちょっとだけ、感覚がおかしくなってたんだよね?きっと。


うん、そうだ。

そうに決まってる。


ちょうど、自分を納得させたところで準備完了。



よし、今日も1日…頑張りますか。

静かで穏やかな日々を取り戻すために。







< 95 / 295 >

この作品をシェア

pagetop