偽装婚約~秘密の契約~
『鬼灯さん?』
朝の苛立ちはどこかへいつの間にか消えて。
もう4限目が終わった。
あ~お腹すいた、なんて考えていると目の前に晴弥が現れて。
周りの女の子のざわめきがハンパない。
『帰りましょうか』
『え?沙羅も晴弥も帰るのか?』
隣のジュウゴが晴弥の言葉に反応する。
『今日は母と父が帰ってきますので。』
『あ、そうか。
親父さんたち帰ってくるんだ。』
ジュウゴは顔をニヤつかせる。
『ま、頑張れ、沙羅。
どうせ、晴弥の両親が家にいるのは今日だけだ。
明日からまた、どっか行くんだろうし。
な?そうだろ、晴弥』
ジュウゴの質問に晴弥は頷く。
え…?
そうなんだ。
なら…今日残りの1日、頑張ればいっか。
…あ、いや、無理だ。
だって…食事のマナーとか絶対ぎこちないんだもん!