Eye-Contact

―――4年前あたしは多岐家に拾われた。


子供がいる家庭なのに何故、養子をもらったか…
答えは簡単

息子のため…
海の両親は多忙で、海は一人で居ることが多い…
あたしを海の遊び相手として連れてきたのだ。

なぜ私だったのかというと、
年が近くてしっかりしているから、と施設の先生に薦められたから………
それだけ。



『田崎 陽…12歳です。これからよろしくお願いします』

「陽か! 僕は海ってゆうの!! よろしくね」

これが海との出会い…
初めて会った時の海は本当にあたしを見て嬉しそうに笑っていた。


―…海はずっと一人で
大きな家で一人ずっと孤独だったのか

海は夜中によく泣いた。

あたしは泣いている海に
『何で泣いてるの??』
と背中をさすりながら聞くと弱々しく

「僕、一人が怖いんだ。夜になると、もっと恐い」

『親が居ないから? …弱いんだね』

ひどく海の“恐い”という言葉があたしをイラつかせたのを覚えている。

「え?」

『捨てられないだけいいじゃない…』

「……陽は捨てられの?」




< 107 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop