Eye-Contact
いつものようにメニューをこなしていると急に
「剛と田崎、ちょっとお前ら来い」
さっちょんが意外な組み合わせを呼ぶ。
「『はい』」
「お前らにいい知らせがきたぞ!」
『何ですか??』
「試合に呼ばれたんだ。遠いが、行けない距離じゃない。お前らも試合がしたいって言ってただろ?」
「俺らなんかを呼ぶ学校があったんすか?!」
剛さんが心底びっくりしたようにさっちょんに聞くと、
さっちょんは頭を掻きながら
「いや~…俺の知り合いの先生に言ったら呼んでくれたんだ」
と照れた口調で言った。
『ありがとうございます』
「いやいや、やっぱり顧問として何かやってやりたいしな!」
「『ありがとうございますっ』」
あたしと剛さんが
笑顔を合わせた後、で練習に戻ろうとすると
「あ…待て、田崎!」
『はい?』
「……華南も来るぞ」
申し訳なさそうな、さっちょんの声が頭をすり抜けた。
『え…』
「男子と女子で会場が一緒なんだ」
『そうですか』
きっとあたしの声は
震えていたと思う。
―――泣きそうになっていたと思う