Eye-Contact
昔の記憶を振り払うように頭を振り、
下唇を噛み締めながらランニングをしていると
「おい」
と低く落ち着いた声が聞こえた。
声のする方を向き、目が合うと澄ました顔を綺麗な顔を歪める剣夜がいた…
「…お前、何で泣いてる?」
咄嗟に自分の頬に手をやると
濡れている
「気付かなかったのか?」
悲しそうにあたしの涙を親指で拭う剣夜…
その姿は絵になるくらい綺麗で、
息が止まってしまうんじゃないかって思った。
「何があった?」
今日の剣夜はよく喋るな、なんて思っていると
「…陽?」
あたしの名前を初めて呼んだ。優しくてすごく甘い声で――