オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
腕から逃れようともがくあたしを見て、頭上から笑い声が響いてくる。
「苦しい? かわええ」
苦しいのわかってるなら離してください……。
今流行りのサディスティックは遠慮したいです。
「おい藤岡、助けてやれよ」
「あ?」
からかいまじりの翼の声が聞こえた。
それに続く藤岡くんの返事は、とてもじゃないけど機嫌がいいとは言えない。
……ていうより、藤岡くんの機嫌が良かった日ってあったっけ?
「へーん。斎がなに言うても俺、聞かへんから」
篁くんが見せつけるみたいにあたしを抱きしめ直す。
背中に回っていた手が、腰に移動した。
「別に……勝手にしろよ」
そして、イスをひく音がして篁くんが抱きしめる力より強く、反対方向に引っ張られる。
腰に回された腕がはずれた。
その代わりに、背中に触れるあたたかさ。
「こいつ以外のことなら俺は何も言わねぇし」
その言葉にあたしが顔全体を赤くさせたと同時、
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。