オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
――そして。
「集中できなかった……」
「視線すごかったなー絢」
ケタケタと面白そうに翼が笑う。
5時間目の授業中。
あたしは、あちらこちらから送られる女の子たちの視線をずっと感じていた。
なんだか怖くて、目を合わせることもできなくて。
ずっと緊張しながら黒板を見ていた。
「つかれた……」
「お疲れさん。でも、それってやっぱあの篁ってヤツのせいだろ?」
「ん……たぶん」
翼が指差す窓際に視線を移す。
いちばん後ろの席……つまり篁くんの席は、女の子の輪で見えなくなっていた。
休み時間のたびにああして囲まれているのだ。