オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
泣きそうになるのをこらえた。
あたしが泣くのはズルいと思ったから。
本当に泣きたいのは、篁くんだと思ったから。
だけど、篁くんはあたしを自分から離して半回転させると、
「……ありがと」
泣くどころか微笑んで、お礼を言ってくれた。
ふぅ、とひとつ息をついて、
あたしに触れていた両手を衣装であるカーゴパンツのポケットに突っ込んで、ドアに寄りかかる。
そして、あたしに向かって、その漆黒の瞳を細めて笑った。