オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
「……んな泣きそうな顔せんでええよ。
無理だってことくらいわかっとったから」
でもその微笑みもどこか悲しそうに見えて、また目の奥が熱くなってくる。
下唇を噛んで、必死にこらえた。
「絢の本音が聞きたかっただけやねん。絢はなんも悪うない。
だから泣かんといて、な?」
ポケットから手を出して、あたしの頬を撫でる。
なんでそんなに優しいの。
あたし、篁くんの気持ち裏切ったようなものなのに。
もっと怒ったり、冷たくしてくれていいのに。
なんで?
「俺は、絢が俺のことまた真剣に考えてくれただけでも嬉しいねん」
その優しさが、痛い。