オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
「おいしかったです、ごちそうさまーっ!!
あ……ねえ、藤岡くん」
「あ?」
ケーキをぜんぶ食べてあたしは笑顔。
途中ケーキをひとくち味見した藤岡くんは、いまだ甘さに顔を歪めている。
「聞きたいこと、あって」
「……何」
「篁くんが言ってた“あの時”ってなに?」
藤岡くんと篁くんが和解した……と思われるあの日に、篁くんの言っていた“あの時”という言葉があたしは気になっていた。
あたしの言葉を聞いた藤岡くんは、さっきより顔の歪みを強くした。
「何……知りてぇの?」
「うん」
ふたりの問題なんだと思うけど、あたしだけ知らないのは何だかイヤなんだ。
あたしが目をそらさずに藤岡くんを見つめると、藤岡くんはひとつため息をついてうなずいてくれた。